ども、みどうさです。お墓の例の樹木は
お小遣いをはたいて買った薬品の散布むなしく、
すっかり葉を切り落とされることと
なりました。薬品を自分自身が結構吸ってしまい
湿疹が出たので(原因がそれとも限らないけれど)
続けて使わなかったのもダメだったかと。

さて、古い文献を読んでいると、予期せぬ収穫が
度々あり、その中でも、去年かなり驚いたのが
作曲家のC.M.Widor(1844-1937)が
クラヴサンを所有していた件。

ヴィドールといえば、サンシュルピス教会の
オルガニストを60年以上勤め、そのヴィルトオーソ
演奏で有名。オルグでシンフォニーを再現した
作曲家で、オルガン交響曲を10曲も残している。
第5番が最も弾かれているけれど、5楽章まで
あるうえに、ファイナルは当然華やかに書かれて
いるので、この終楽章トッカータを弾き切るには、
演奏家としての相当な能力と経験が必要で
あろう‥と聴くたびに思う。そんなヴィドール、
日々の教会での、オルガニストとして神と民を
つなぐお勤めが終わった後、自分のために、
クラヴサンをちょっと弾いてから家路に
ついていたという。教会の一角に置いていた
18世紀のクラヴサンは、かなりいい楽器であった
はずで、熟成された共鳴板と教会の響きを使って、
素敵に鳴らしていたであろう。ヴィドールほどの
音楽家なら、どんな圧のタッチで、どんな
タイミングで鍵盤から指先を離せばいいか、
指の角度はどのくらいがいいのか、
知り尽くしていたのではないかと想像する。
たとえ当時は、経験豊富なクラヴサン職人
は存在しなくて、理想的な楽器の状態では
なかったとしても。
かつて、F. クープランも、国王と民が、
神に語りかけるために、教会でオルグを弾き、
自分と向き合うためにクラヴサンを弾いていた。
ヴィドールがこの楽器に興味を持ったのも
わかる気がする。

アカデミックな世界の学者は、より狭く、
そこをより深く掘ることをよしとする。
もちろん、それは王道のやり方で、そういった
専門性は大事。でも、例えば17世紀音楽の
学者に19世紀の音楽の話をしても、全然
通じない‥といった状況はとても残念。
いや、それでもいいのだけれど、
横に軸をとって、俯瞰からまず眺めて
その関連性を深めるやり方もあり、
否定されるべきことでもない。
だって、音楽はつながっているから。

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若い葉っぱは、薄くて光を通すので、とても綺麗。

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ペール・ラシェーズの日々通る坂。

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新鮮な白い花々が届いていて、大きかったので3つに分けて飾ることに。

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イースターの休みの頃は、特にお花でいっぱいであった。

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こちらはヴェルサイユ宮殿敷地内、チャペル・ロワイヤル。

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月に1度のミサに参加してみる。基本、ラテン語。

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近所のポルトガル惣菜屋にあるナタ。さくさく、しっとり。

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何世紀築か知らないけれど、古い建物の内側から眺めた新緑。











# by midousagi | 2024-05-12 07:17 | Comments(0)

ども、みどうさです。お墓の樹木が病気になり
困っています。なんと、樹木葬に使う人もいて、
骨がまかれてるのを見るにつけ、困惑。

3月終わりの週、今年は聖週間だったので、
木曜日の晩は最後の晩餐、金曜日は十字架に
かけられた日(受難)、土曜日は復活祭前夜、
日曜日は復活祭、月曜日の復活祭翌日と
教会に通う。とても感動したのであった。

教会のミサでは、通常、聖書の中から
3つの抜粋が読まれる。これが、世界共通の
セレクトだそうで、世界中どこのカトリック
教会でも同じ箇所。その中でも、おそらく
一番長い抜粋が、金曜日の典礼に読まれた
ヨハネによる福音書の18章と19章の一連。
イエスが十字架にかけられる前、そして
埋葬までのとても印象的な場面。
みどうさはミサに参加するのが大好きで、
その理由のひとつが、神父さんが
イントネーションをつけて、歌う様に
語るのを聞けるから(皆でお祈りするとか、
オルグを聴けるとか、その伴奏で自分も
歌える参加型だとか、神父さんの言葉を
聞いて元気がでるとか、色いろあるけれど)。
仏教でも、お坊さんがお経を読むのに、
独特の調子をつけるけど、それより、
もっと抑揚がある。つまり西洋的。
受難の金曜日の抜粋は、近所の教会では、
この歌うように語る方式で読まれ、
オラトリオのレチタチーボより、
心に入ってくるというか、説得力があり、
深みがあり、場に合っていると思った。
合唱ともうまく調和していた。後日、
文章を読み返して、なるほどと思ったのが、
イエスの埋葬の際、没薬とアロエを
混ぜたものを、大量に一緒に入れたらしい。
傷が癒えるのに一役かっていたに違いない。

ところで、この抜粋部分の日本語訳を、
高校生の国語の文章題で読んだことがある
(パリの塾で日本人高校生に国語を
教えていた)。イエスの弟子のペテロが、
あなたもあの方の弟子でしょと聞かれ、
自分は弟子じゃないと否定し、3回目の
否定の直後に鶏が鳴く場面。文章題の
設問は全く覚えていないが、そこに
人間の弱さが出ていると思った記憶が。
聖書は大昔に書かれたのに、人間の本質を
描いて、我々に常に考えさせる。だから、
世界で読み継がれ、今もこれからも
絶対に古くならないのだな。

paris & versailles 受難 〜selon St Jean 18,1-19,42〜_e0193989_04234459.jpg
サン・ルイ地区で通りかかった建物のタイル。絶妙な色使い。
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イースター前はうさぎが、あちこちに。

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パン屋さんのクッキーもイースター仕様。
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近所の教会のパイプオルガン。

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この時期は白い飾り付けも。
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ベルサイユの駅にも桜が何本があって、2週間ぐらい前が満開だった。








# by midousagi | 2024-04-10 07:29 | Comments(0)

ども、みどうさです。寒いけど、お墓の木々に
新しい葉がどんどん出てきて、春、遠からじ。

ここ数ヶ月、地味に練習しているのが
フランクのコラール2番。亡くなる2ヶ月前に
仕上がった作品。これがなかなか
難しい曲で、最近ようやっと全体像が
見えるようになってきたところ。

ロ短調。この調性はバッハのロ短調ミサ、
ショパンのソナタ3番、リストのピアノソナタ等、
作曲家にここぞという時に選ばれている。
形式はPassacaille。もともとは舞曲で3拍子、
8小節(17世紀では4小節、19世紀には16小節
まで拡大、フランクのこの作品も)のモチーフが
繰り返される。F.クープランもロ短調で
パッサカイユを残しており、クラヴサン作品の
最高傑作のひとつ。オルガン奏者ならバッハの
もの(ハ短調)をすぐに思い浮かべるだろう。
フランクのコラール2番において、何が難しい
かというと、まず、フランク自身がプロの
ピアニストを目指していたので、
彼の作品を弾くには、結構な訓練された手が
要る。そして、晩年の作品かつ19世紀終わり
1890年の作曲なだけに、和声的に複雑で、
細かく声部を見ながら正確に弾くのが大変。
もちろん、音楽的にとても深い。
主に2つのモチーフを使って構成されて
おり、前半では各々が提示され、後半で
同時に組み合わせて使われるのだが、
変ホ短調(フラット6つ)。この調性は
なんというか、ベクトルが下に向いている
印象。しかし、押しが強い、主張の強い
嬰へ短調(シャープ3つ)に移行する。
この転調が、すごく19世紀で、
レのフラットと、ドのシャープが同じ
音になるのを利用している。
(ちなみに、この類の転調は、変イ長調と
ホ長調の美しすぎる組合わせをショパンや
シューマンが使っており、ラのフラットと
ソのシャープが同じ音になるのを利用)

フランクの残した、3つのコラールは、
いずれも天に向かうように終わる。
2番の場合は、全体は重く、時に語調が
強い。が、最後は魂が、穏やか穏やかに昇る。
作曲家というのは、素晴らしい。
音楽で遺書が書ける。言葉はないけれど、
弾く人や、聴く人に、言葉にならないもの
を伝える。音楽の場合は、それが弾く人に
よって完成されるので(プロの演奏家の
場合は、さらに聴衆が完成させるのだが)、
つまり、ふたつと同じものは、ない。


paris & versailles 遺書 〜 2e choral de C. Franck 〜_e0193989_05000765.jpg
改めて床の素材の重要さを体感したSaint-Wandrille 修道院回廊。
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かわいらしいマリアさま。
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        見えにくいけど百合の紋。ああフランスだなぁ。
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  こちらはパリ。お墓に、黄色の花があれこれ届く。ミモザほのかな香り。
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   初めて見たにゃんの後ろ姿。

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ベルサイユに戻って。朝のバス停から眺める、ノートルダムの尖塔。

paris & versailles 遺書 〜 2e choral de C. Franck 〜_e0193989_04533867.jpg
                    夕刻もまた綺麗で、通るのがたのしみ。





# by midousagi | 2024-02-29 07:42 | Comments(0)

ども、みどうさです。節電の毎日です。
電力会社の推奨設定温度は
19度だと記憶しているけれど、気温が一桁の日、
マイナスの場合は、それでも暖房が
精一杯働くことになるので、16.5度の設定に。
充分とは言わないが、わりと大丈夫。

さて。オルグと向き合う者にとってバッハは必須で、
トリオ・ソナタもだいぶ勉強した。聴いても
弾いても好きなのが、2番のBWV526 ハ短調。
エネルギーを感じる、なかなか大変な曲である。

あれこれ調べても、全然そういった記述は
見つからないけれど、たぶん「トルコ風」を
作曲者は意識したと思う。西ヨーロッパ内で、
17世紀後半から18世紀半ばにかけて、芸術作品に
しばしば見出されるのがオスマン帝国の影響。
音楽では、モリエールのコメディバレエに始まり、
バロック・オペラではトルコ人の踊りは定番。
異文化要素が入った方が舞台的に変化があって、
視覚的にも聴覚的にも面白くなる。
フランスは、オスマン帝国と同盟関係だった
こともあり、文化にも影響を与えあっていた。
バッハの活動は神聖ローマ帝国内、現在の
ドイツ。様々な文化が行き交う中で、
イタリア協奏曲、フランス組曲、イギリス組曲
など異国趣味を意識した作品も生み出した。
BWV526に話を戻すと、2楽章は美しいパストラル、
対して1楽章と3楽章は、中間部のリズムが印象的。
この2楽章と3楽章をW.A.Mozart が
編曲した(書き写した)という説がある。
弦楽三重奏K404a。この曲に関しては定かでは
ないが、1782年の父レオポルト宛の手紙によると、
ハプスブルグ帝国の貴族Gottfried van Swieten
が管理していたバッハ一族の楽譜を、猛烈に
勉強していると(伯爵が「勉強させた」という
方が的確か)。対位法を深めていた模様。
バッハとモーツァルトは全然作曲スタイルが
違うと思われているけれど、大作曲家たるもの、
先人の研究あっての独自のスタイル確立。

実際、モーツァルトのオペラ、フィガロも
ドン・ジョバンニも魔笛も、作曲された
のはバッハ研究の後。フーガなどの対位法、
多声の扱いに、更に長けたからこそ
書けたのかもしれない。
つとまるところ、新しいものを生み出すには、
どれだけ自分の引き出しを増やせるかが、
大事なのだろうなぁ。

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年末に近所を散歩して新たなエリアを発見。

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大きなホテルも。

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電気機器が収められている箱。マダム・ポンパドゥール。
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まだ足を踏み入れたことのない近所の劇場。マリーアントワネットもお忍びで通ったそう。

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近所の教会内にて。静謐。

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同じくどんより天気だけど、こちらはパリ。







# by midousagi | 2024-01-25 08:46 | Comments(0)

ども、みどうさです。最近は近所の教会に通って
いて、聖書の抜粋を読む機会も増えたけれど、
聖書の中では、いや、その時代は、パレスチナと
イスラエルは同じというか、ひとつなのに、
なんでこんなことになったんでしょう。
長い歴史があったわけですが。

さて、時々、まだクラヴサンも弾いているのかと
聞かれる。いや、ほぼ弾いていない。部屋に
1台あるけれど、それはイタリアンで、フランスの
作曲家のものを弾くのに適さない。基本的に
イタリアンとフレンチは鍵盤の材質が違い、
フレンチはより軽く(ピアノのプレイエルが軽い
のもなんだか納得)、装飾音符が綺麗に入ると、
それはそれは弾いていてうっとりするくらい。

クラヴサンという楽器は、いかに鍵盤を
コントロールするかが勝負で、指づかいをちょっと
変えるだけで、すごく耳に違いが出たりする。
ニュアンスだけでなく(薬指がポイント)、
指づかいでアーティキュレーションをコントロール
できるので。ピアノを勉強した人にとっては、
クープランやラモーは、楽譜的にはかんたんかも
しれないけど、ピアノで弾くのと、クラヴサンと
では別物かなと思う。でも、ラモーの方がクープラン
より全体的にピアニスティックではある
(実は、ピアノでのバッハもあまり好きではない)。
クラヴサンも、そしてオルグも、ポリフォニーを
聴かせられるかどうかも、ひとつの勝負どころ。
以前、名が知れたフランス人のクラヴサンの先生に
ついていた時に、全然ポリフォニーが聴こえて
こないわよと叱咤されたことがある。えぇぇ、
すべての音を声部を考えて正確に弾いてるし…と
その時は思ったけれど、オルグを勉強した今に
なってみると、確かに聴かせられていなかった。
弾く側が聴こえるように弾かないと、聴く側に
聴こえてこないのよね。
フランスで日本人の演奏一般が否定的に言われる
のを何度か耳にした。ポリフォニーが
わかってない、とのことであった。
夏に、とあるピアノのマスタークラスにたまたま
居合わせたのだが、ううむ、確かに。
ほぼノーミスで弾かれていたショパンからは、
全く聴こえず。次の生徒がバラード3番の冒頭を
しっかり対位法を聴かせるようにしていて
先生に「君はわかっている」と言われていた。
そうは言っても、ショパンはただでさえ難しいから、
と思うけれど、立体的に聴こえた時の感激は
またすごいものがある。

西洋音楽、あるいは異文化を深く理解したい
時に、どうしてそこ(その作品あるいは
その表現)に辿り着いたのか、その歴史を
知ると、やっぱり強いのかなと思う。
ポリフォニーは、結局、西洋音楽の要。
ひき続き、勉強すべし。

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近所のパッサージュも、ノエルの装飾。

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月に1度、宮殿の敷地内のチャペルロワイヤルでミサがある。

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キリストのお話のプチ人形。子供たち大喜び。ベルサイユのノートルダム教会にて。

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こちらは日々お世話になっているパリのカフェ(いつも立ち飲みコーヒーですみません)。

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この時期、店頭でよく見かけるのが、くるみ割り人形に出てきそうな兵士のペア。




# by midousagi | 2023-12-16 07:25 | Comments(0)